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「スピード」と「応答柔軟性」のバランス|早期審査・スーパー早期審査の選択基準

特許出願から権利化までの期間を短縮する制度として、特許庁は「早期審査」と「スーパー早期審査」の2つのルートを設けています。通常の審査では一次審査の結果通知までに約10ヶ月を要しますが、早期審査を利用すれば平均2〜3ヶ月程度、スーパー早期審査であれば原則1ヶ月以内へと大幅に短縮されます。また、スーパー早期審査では、意見書・補正書を提出した後の二次審査の待ち期間についても応答日から1か月以内と短縮されます。ビジネスのスピードが加速する現在、これらの制度は早期に事業の保護を図る上で非常に有効な手段です。例えば、模倣品対策などで一刻も早い権利取得が求められる場面で強力な選択肢となります。
これら2つの制度は、利用するための要件が異なります。早期審査は、中小企業・個人、外国へも出願している案件、すでに出願技術を実施している案件など、比較的幅広い出願が対象となります。一方、スーパー早期審査は、より迅速な対応がなされる分、「実施関連出願かつ外国関連出願」または「スタートアップによる実施関連出願」などに該当し、かつ、スーパー早期審査の申請前4週間以内の手続きを原則オンラインで行っている必要があるなど、要件が限定されています。
早期審査とスーパー早期審査の実務上の使い分けでは、事業のスケジュールと社内の対応体制が鍵となります。拒絶理由通知に対する応答期間が、早期審査では60日以内であるのに対して、スーパー早期審査では30日以内で応答しないと一般の早期審査として取り扱われるため、二次審査以降の待ち期間を短縮させることができなくなります。したがって、スーパー早期審査では、社内で迅速に方針決定ができる体制を整えておくことが望まれます。他方、早期審査は、応答期間が通常通り確保されるため、権利範囲の調整などについて発明者や事業部とじっくり検討を重ねたい場合に適しています。
このように、単に審査期間の短さだけでなく、要件の適合性や事業展開のタイムライン、社内の対応リソースを総合的に考慮することが大切です。製品のリリース時期や海外展開の計画と照らし合わせ、どちらの制度が自社の知財戦略に合致するかをご検討ください。要件の該当性や最適な手続きの選択に迷われる場合は、出願前の段階からぜひ専門家である弁理士にご相談ください。
弁理士 三苫貴織
